あなたは、特別な存在。
誓ったの。
もう、二度と、同じ過ちを繰り返さないって。
オレンジ色に辺りは炎に包まれて。
あの時、私は、周りが焼けることに、少し安堵していた。
傍に、あなたがいなかったから。
傍にいけるかもしれないって。
でも、そのあと直ぐに、独りで、もとの世界に戻った。
揺らぐ炎に、誓ったの。
やり直せるのならば、あなたを救いたいって。
「望美ちゃん」
振り返ると大好きな人が笑っている。
「景時さん」
夕日に照らされて、いつもと違う雰囲気。
そんな景時さんも格好良い。
「もう直ぐ、暗くなっちゃうよ〜。朔も心配するだろうし、帰ろう」
優しい、優しい景時さん。
あなたを好きになったのはいつだったかしら。
「もう少しだけ、良いですか?」
あと少し、あの、オレンジ色の夕日が沈むまで。
「全然、構わないよ。それにしても熱心だね〜、何をそんなに祈っているの?」
手を組み、瞳を閉じて、海に向かう姿は、やっぱりおかしいだろうか。
「祈る、って言うか、誓いです」
あなたを、失いたくない。
思わず、手を握り締めた。
オレンジ色の太陽は、あの日の炎の色と、とてもよく似ているから。
「誓い、か。じゃあ、オレは手伝ってあげられないかな。願いごとなら、何とかしてあげられるかもしれなかったけど」
困ったような顔。
そんな顔をさせたいんじゃないんです。
どうか、…笑って。
「じゃあ、おまじない、してください、願いが叶う、おまじない。ありますか?」
「うん、あるよ、望美ちゃんの願いなら、お安い御用〜」
好きな気持ちは募るばかり。想う気持ちは高まるばかり。
どうか、景時さんが無事でいられますように。
「急々如律令」
「…あれ、銃は向けないんですか?」
私に向かって五芒星を切る。
「うん。あんまり、いい気持ち、しないでしょ」
ああ、やっぱり、景時さんは優しいなぁ。
「ありがとうございます、景時さんがおまじないしてくれたから、百人力です」
「そ、そうかな〜」
照れたように、笑ってくれる。
うん、景時さんには笑顔でいて欲しい。
「じゃあ、真っ暗になる前に、急いで帰ろ」
「はい」
この気持ちは、叶わなくていいから。
だからどうか、私の誓いが、叶いますように。